特定非営利活動法人日本トイレ研究所(災害用トイレ普及・推進チーム)は、地方公共団体における災害用トイレの備蓄・整備に対する現状と課題を把握することを目的にアンケート調査を行いました。
首都直下地震や南海トラフ地震、日本海溝・千島海溝周辺海溝型地震、豪雨災害など、いつどこで災害が起きてもおかしくない状況です。災害時に水洗トイレが使えなくなりトイレが不便・不衛生になると、被災者はできるだけトイレに行かなくても済むように水分摂取を控えてしまい、エコノミークラス症候群等のリスクが高まることがわかっています。 また、不衛生なトイレは感染症の温床にもなります。災害関連死を防ぐには、安心できるトイレ環境の確保が不可欠です。 被災者の健康と公衆衛生を守るため、トイレ対策の徹底は喫緊の課題だと考えています。
調査結果のうち、主なものを以下に示します。
■トイレ対策の全体統括責任者(部署) 「決めている」38.6%、「決めていない」60.8%
■災害時のトイレ確保・管理計画 「策定している」24.1%、「策定していない」75.9%
■災害用トイレの必要数算定 「試算がある」50.9%、「試算がない」47.0%、「その他」2.1%
■災害用トイレの備蓄状況 「足りる見込み」は30.7%、「不足する」41.3%、「わからない」27.7%
■在宅避難者の避難所トイレ利用 「想定している」33.1%、「想定していない」65.4%
■在宅避難者へのトイレ支援 「検討している」15.7%、「検討していない」84.0%
■要配慮者のトイレの備え 「備えている」53.9%、「備えていない」41.0%
■防災訓練でのトイレ対応 何らか実施していることのうちで最も多いのは「組み立て訓練している」42.5%、
次いで「展示している」(32.8%)、「実際に使用している」(3.3%)
「実施していない」は37.7%
災害時のトイレの備えに関するアンケート 調査概要
調査目的:災害用トイレの備蓄・整備に対する現状と課題を把握する
調査対象:全国の都道府県及び市町村の防災担当部局
調査方法:アンケート用紙を郵送し、郵送、ファックスまたはメールで回答
調査期間:2023 年 5 月 22 日(月)〜 7 月 21 日(金)
実施主体:特定非営利活動法人日本トイレ研究所(災害用トイレ普及・推進チーム)
※本調査では、⼩数第2位を四捨五⼊しています。そのため、数字の合計が100%とならない場合があります。
この調査結果に関するお問い合わせ
日本トイレ研究所 災害用トイレ普及・推進チーム 事務局(担当:松本、島村)saigai@toilet.or.jp
特定非営利活動 法人日本トイレ研究所
日本トイレ研究所は「トイレ」を通して社会をより良い方向へ変えていくことをコンセプトに活動しているNPO団体です。 阪神淡路大震災を契機として、災害時のトイレ問題に本格的に取り組んでいます。 自治体と共同でフォーラムの開催や災害時のトイレに関するアンケート調査・被災地におけるトイレの調査の実施、また「災害時トイレ衛生管理講習会」開催と「防災トイレアドバイザー」養成といった人材育成、ポスター・小冊子の作成等の啓発活動を行っています。
災害用トイレ普及・推進チーム(dtat)
日本トイレ研究所は 2014年、地方公共団体のトイレ対策および備蓄の推進を目的に災害用トイレ普及・推進チームを立ち上げました。 災害用トイレの開発や販売に携わる企業、行政や専門家と連携しながら災害用トイレ・衛生製品の普及とトイレ対策の推進に取り組んでいます。 2023年は、9月29日に宮城県の東松島市で防災トイレフォーラム'23を開催します。東日本大震災当時の被災経験を踏まえたトイレ対策や避難所の備えについて発信します。 また、災害用トイレガイド(www.toilet.or.jp/toilet-guide/)では、過去の災害におけるトイレ事情アーカイブ、災害用トイレの選び方、災害用トイレの性能など、様々な情報を発信しています。
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